熊との遭遇monsterA.gif CopyRight(C) 2000 F.Uchikawa

１９８７，８，１８

　昼を過ぎ、ようやく釣行地・霞沢に着く。今日は、思い切って上流に行ってみよう・・・ということで、準備。蒸し暑く、よく晴れていたが、ちょっと黒い雲が目立ち始めてきた。砂防ダムを越え、林道をかなり歩き、木々が出始めたところで、ロープを使って河原に下りる。

川の流れにそって上って、いいポイントに到着。はやる気持ちを抑えつつ、竿を伸ばす。えさの川虫を採集しようと川に入って、ふと気がつくと、な・な・なんと前方５０メートルに黒い動くものがいるではないか。でも最初のうち犬かなとほっとする余裕もあったのを覚えている。しかしどうも犬にしては、真っ黒すぎるし、大きいし、動きも鈍い。だんだん余裕が恐怖に変わっていく。と同時に向こうもこちらに向きを変えた。心臓が全開のエンジンのようになり、音が聞こえる。

・・・それからどうしていいやら解らないうちに、向こうとにらめっこ。どのくらいにらめっこをしたか分からないが、犬でない熊は、顔を対岸に向け歩き出して木に登り始めた。その後は、後ろを振り返りながら、ゆっくりもと来た道を戻り、林道に上がった。振り返っても熊の姿は、全く見えない。それでも、心臓の鼓動は、まだ速く大きい。林道からは、全速力で下流部まで走った。

　せっかく来たのでと、下流部で竿を出すことにした。ニジマスを１尾あげたところで、突然雷鳴。熊との遭遇で天候の急変に気が回らなかった。空はいつの間にか、真っ黒い雲に覆われている。竿をたたもうとしているうちに、激しい雷鳴・そしてあっという間に豪雨。雷はかなり近い。竿を置き、近くの大きな岩と岩の間に隠れる。激しい地響きが伝わり、その瞬間耳を突き裂くような雷鳴。

・・・これまたどのくらいの間そこにじっとしていただろう？雷は遠くなったようだ。ダブルってやつか。とにかくその日は、帰還。すごい１日だった。熊に会ったのは、長い渓流釣りの中でも、この時の１度だけ。

＊アニメーションは、mail friend FumiUchikawaさんのかわいい作品です。ありがとうございました。

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