１９９１，２，１０（日）

静岡県沼津港の白灯堤へ黒鯛を釣りに行ったときのことだ。夜釣りになって９時頃、電気ウキがぼやっとして２つ・３つ・・・に見えだした。松本から走って来て、だいぶ疲れているなあと感じ、納竿しようとブロックを渡ったときのことだった。日中、雨だったのですべったのか、疲れで場所を誤ったのか、寒さで体が動かなかったのか・・・、ブロックの間に転落してしまったらしい。ご存じの通り、沼津港の白灯堤のブロックは、大きく・高く・隙間も大きくあいている。しかも明かりがなく真っ暗だ。真っ逆様に宇宙遊泳をしたみたいな気がした瞬間、つけていたヘッドランプがブロックに激突し、粉々に飛び散ったのがわかった。その後か前か、目の前が真っ白になった。終わったなと思い、昔のことが浮かんできた。そのとき何が浮かんだのか、今は全く思い出せない。

次に気がついたとき、肩が、左肩がかなり痛かった。更に背負っていた、黒鯛の玉網がブロックとブロックの隙間にひっかかって、自分の体がとまっていることに気がついた。

陸に戻ったが、体がそこらじゅう痛い。頭もぼーとしていた。が、とにかく助かったのだ。そう思うと、体が細かく震えるのがわかった。もう一つ重大なことがわかった。左肩を動かすと激痛が走るのだ。左腕が痛くて上がらないことに気がついた。

車で寝て、翌朝右手だけで、運転して帰ってきた。結局、医者に行かなかったが、少しずつ治ってきて、一月くらいですっかり元通りになった。

ヘッドランプが自分の身代わりになって、玉網が命を救ってくれた。九死に一生を得た。皆さんも、くれぐれも無理をしないでくださいね。

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